多根町の入り口に「滝の前」という水飲み場があります。この起源は古く、町にある古絵図には「滝の前」が描かれています。

 鎌倉時代、石動山が繁栄した頃、最も利用されたと思われます。村の住民や石動山の参拝者、荷揚げの人々や牛馬までが、この水を飲み、顔や手を洗い、ひと休みしたそうです。

 2本の水口があり、右には「南無阿弥陀仏」の石碑、左には「阿弥陀如来の仏像」が安置されています。信仰の場所として、古来から先祖の人々が敬い慕んでいたのです。

 この水は、どんな旱魃の年でも枯れたことはなく、今でもお茶の水、蕎麦打ちの水として多くの人たちに利用されています。
                 (文:山中豊秋)


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