石川県指定有形文化財
作品名●善女龍王図・ぜんにょりゅうおうず
作 者●長谷川信春(等伯)
材質技法●絹本著色
法 量●縦35.5cm×横16.3cm
印 章●「信春」朱文袋形印
制 作●室町末期
「善如龍王」は、元々インドの無熱達池に住む八寸(24cm)の金色蛇で、九尺(270cm)の蛇の頂きに住むと言われる。密教系の仏で、天長元年淳和天皇からの勅命により空海が、神泉苑において請雨修法した折に応現したと伝えられる。「善女龍王」とも書き、本図は頭頂部に八寸ほどの金色の龍(蛇)を戴き、右手に三鈷杵の剣を持し、左手には如意宝珠を戴いた女形の童子像として描かれている。しかし善如(女)龍王を描いた代表的作品として知られる、高野山・金剛峯寺蔵の定智筆、国宝「善如龍王図」の龍王は、中国官服を着して雲上に立つ男神として描かれ、裾の後に蛇の尾が僅かにのぞいた姿で表されている。本図については、清滝権現との関係を今一度見直す必要があるかも知れない。
画面の状態は比較的良好で、信春時代の特徴である優美な色彩を見ることができる。小品ながらも存在感があり、能登時代に多くの仏画を手掛けた等伯の技量が窺える。また、等伯は熱心な法華信者で、特に法華宗関連の仏画を多く描いているが、宗派にこだわらず幅広く仕事をこなしていたことが分かる。
興味深いのは、同じく能登時代に描いた一連の仏画との共通点である。特に宝冠は、「弁財天十五童子画像」(穴水町指定文化財・個人蔵)とほぼ同じ形状である。これらの仏画と照らし合せると、恐らく能登時代の28歳から30歳頃の制作であろう。
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